お寺のブログ ~横浜寿徳寺お坊さん日記~

川崎・横浜の市境にある 静かな住宅街のなかの、心落ちつく禅寺のブログです。 〔首都圏・横浜・川崎のお寺 曹洞宗〕

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2015年01月

さて、前回取り上げた、この「大衆の威神力」(だいしゅのいじんりき)という言葉ですが、
同じ表現ではありませんが、七百年前の瑩山禅師(けいざんぜんじ)の修行法を記したと
いわれる『瑩山清規けいざんしんぎ』に、


 「安居同修の威神力を尊ぶべし。」(『瑩山清規』)
あんごどうしゅのいじんりきをとうとぶべし
とあります。※安居〈多くのお坊さんが一箇所にあつまって修行すること〉


皆で一緒に修行したその大いなる力は尊ぶべきものであるというのです



夏のお盆の時期、「施餓鬼」(せがき・現在は大施食会ともいう)という大勢のお坊さんがお経を読み、


亡くなった方たちを救う儀式があるのですが、その時にこの言葉が唱えられたようです。




ちなみにこの、「施餓鬼」(せがき・現在は大施食会ともいう)儀式ですが、
現在も、各地のお寺で行われています。

われわれの横浜 鶴見の寺 寿徳寺でも、いまでも、

毎年七月二十五日に、近隣・遠方のお坊さんに集まっていただいて、

檀家さん皆様にも集まっていただいて、

大勢の方の御参加をいただき、この儀式を行っています。


こうした伝統を引き継げていることは、本当にありがたいことだと思います

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皆で力を合わせれば、どんなすごいことでもできる。
一人では辛い修行も、朝1時や2時に起きることも、どんなに長い距離の廊下の雑巾がけでも
皆ですれば、皆に引っ張られてやりとげられる。これを「大衆の威神力」と修行道場では言っています。


以前紹介した道元禅師の言葉をまとめた『正法眼蔵隨聞記』にも通じます。

初心者は周りのみんなのことを真似しているうちに、

最初は、そのいちいちの修行の、道理・理由がわからなくても、


自然と修行が出来てくるようになり、そのうち道理もわかってくるという言葉です。


皆についていけば、体が自然とついていき、その心もわかってくると、道元禅師はおっしゃいました


皆ですれば、何倍もの力が自分から湧いてくる・・・何事にもこのことは通じるのでは無いでしょうか。


記事をお読み頂きありがとうございました。
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勉学を積んでも、実際のところはどうなのか、ということを禅では厳しく問うてきます。(けっして勉強しなくてもいいという話ではありません)。

今日取り上げたいのはそういった話です
ある勉強家のお坊さんが、ある立派な禅師(ぜんじ 禅の修行を極めた方)の下で学び、

夜も更けてきた時の話です。

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禅師は、言う。「夜も更けてきた。(そろそろ終わりにして)何故さがらないのか」

勉強家のお坊さんは、「外は真っ黒です」と言う。

禅師はお坊さんに、灯り(燭)を渡してあげようとする。


お坊さんが受け取ろうとすると、

禅師はその瞬間、


フッとその灯を吹き消してしまった。

そこで、そのお坊さんは悟った。


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という話です。このお坊さんは、『金剛般若経』(こんごうはんにゃきょう)という
とある経典に詳しい方でした。


その理解は、いわゆる頭でっかちの理解であり、理論を追いかけ回していただけ。




しかし、禅師に会って、実際に 目の前で 灯りを吹き消されたとき、


一瞬にして辺りの闇に包まれたとき、


自分が紙の上で、机の上で解決しようとしていた 様々な事柄が、



自分の前に真実として、そのまま、



この目前にあることを強く感じ、悟ったのでは無いでしょうか。



灯りに照らされていても、


あるいは、辺りは真っ暗で姿は見えなくても、


あるいは、そのお経の理論を理解しようが、


理解しまいが、


世間的に成功しようが、

あるいはしまいが、


どちらにせよ、この私達の命は、大きな空に抱かれて、いま、ここに生きています




そのことに目を向けなさい、とこの逸話は言っているのかもしれませんね。

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※便宜上、一般にはあまりなじみが無い僧名をそのまま記すと、、話を理解するのに少し難しいと考えたので、僧、禅師と記しました。それぞれ、徳山宣鑑、龍譚崇信(生没年不詳)のこと。

※夜まで徳山が何をしていたか、諸伝では違っており、『景徳伝灯録』では「黙坐」(坐禅)し、『聯灯会要』では「侍立」(仕えて)、『無門関』では「請益」(教えを請う)して夜になったとしており、また、『景徳伝灯録』では、次の日に、経典の註釈書を焼いたという部分はありませんが、『聯灯会要』・『無門関』では、次の日、この僧は皆に、自らの悟りを話し、そして、そのまま、お経の註釈書を焼いてしまったと伝えています。その際に「いかに理論を解き明かしても、それは虚空に髪の毛一本を置いたようなものに過ぎず、この世の重要な問題を決したとしても、それは大きな谷に一滴の水を垂らしただけに過ぎない」と言ったと伝えます。
この記述は『景徳伝灯録』には無いようなので、この話が何度も説かれるうちに、解説にあたるような、この部分が出来てきたのかもしれません。
※一般向けの本では、『無門関』収録の話がよく知られていますが、須山長治『『禅語録』を読む』角川学芸出版2010でも、『聯灯会要』版のこの話の書き下し・解説が載っており、手に入りやすく良いのでは無いかと思います。
※はじめて少し長い禅話をとりあげましたが、「短く。わかりやすく」を目指すこのブログでこうした禅話を伝えるのは難しいですね。
色々と諸本の違いを取り上げたくなったり、原文を載せたりしたいとも思いましたが、このブログの方針に反するのでこうした記事となりました。
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師は、必ず弟子の質問を待って、発言すべきである。
弟子は、心得ていることでも何度も質問して確かなものにすべきである。
師匠も、弟子によくわかったかと確認して言い聞かすべきである

道元禅師のいうように、1つのことを何度も確認するのは、教わることも多い現代では難しいこともあるでしょう。


ただ仏教の学問はこのようになされるべきだというのです。
1つのことでも、何度も弟子と師の間で確認し、漏れが無いようにするというわけです


 師は必ず弟子の問ふを待ツて発言するなり。心得たる事をも、幾度も問ウて決定すべきなり。師も、弟子に能々心得たるかと問ウて、云ひ聞かすべきなり。(『正法眼蔵随聞記』長円寺本、巻一)

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弟子が師について学ぶのは、過去も現在も変りません。

仏教の師と弟子とは違うでしょうが、

学校や塾では先生と生徒ということになり、会社では部下と上司ということになるのかもしれません。


道元禅師がおっしゃるには、

 弟子が教えを聞くときには、よくよくしっかりと聞いて、しかも何度も何度も聞いて、確かなものとすべき。
 質問があるのに質問せず、言うことがあるのに言わないのは、自分の損になるのである。

といいます。弟子はわからないことがあれば、何度も師に教えを請うてよいのです

そのかわり師匠のいうことを、しっかり聞くというのも前提となってきますね



示ニ云ク、学道の人、参師聞法の時、能々窮メて聞キ、重ネて聞イて決定すべし。問フべきを問はず、言ふべきを言はずして過ゴしなば、我ガ損なるべし。


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